
漢方医学は、中国の古代から続く伝統的な医学の一つであり、自然界に存在する植物、動物、鉱物などの天然素材を利用して、人間の体調を調整する治療法です。
漢方医学は、近年、世界的に注目を集めており、日本でも広く知られるようになっています。 漢方医学の考え方は、身体のバランスを重視し、人間を独立した存在ではなく、自然界の一部であると考えます。身体は、五行(木、火、土、金、水)と陰陽のバランスがとれていることで、健康であるとされています。本ブログでは、漢方の考え方や理論を紹介します。興味がある方ぜひご参考ください。
目次
漢方薬の考え方

漢方医学では、身体の均衡を重要視し、人間は自然界の一部であり、孤立した存在ではないと考えられています。身体の健康は、五行(木、火、土、金、水)と陰陽のバランスが取れていることによって保たれるとされています。
五行思想は、木、火、土、金、水という五つの要素から成り立っています。これらの要素は、相互に影響しあってバランスを取っています。
また、陰陽説は、陰と陽という相反する2つの要素が存在し、そのバランスが重要であると考えます。このバランスが崩れることで病気が発生するとされます。
さらに、漢方医学では、病気は、外からの原因(風、寒、暑、湿、火)や内部の不調和(気、血、水)が原因で発生すると考えています。 体質に応じた治療を行い、体質改善に努めます。
体質とは、人間が生まれつき持っている特性や体の状態のことで、それに応じた漢方薬を処方することで、病気の治癒だけでなく、再発や予防にもつながるとされています。
漢方医学は、西洋医学と併用されることが多く、病気の状態に応じて、西洋医学と漢方医学を組み合わせて治療することもあります。 漢方薬は、これらの考え方に基づいて、体のバランスを整える働きをするとされています。
一方、漢方薬は、様々な天然の薬草や動物性の成分を組み合わせたものであり、各種の病気に効果があるとされています。 漢方の治療法には、漢方薬のほかにも、鍼灸、推拿、食事療法、気功、太極拳などもあります。これらの治療法は、体のバランスを整えることで、病気を治療することを目的としています。
漢方の考え方は、独自のものであり、西洋医学とは異なるものです。しかし、近年では、西洋医学と漢方を組み合わせた総合医療が注目されており、漢方の有用性が再評価されています。漢方の考え方は、体のバランスを整えることが重要であるというものであり、その考え方が現代医療にも多くの示唆を与えています。

①証と方とは
「証」と「方」は、漢方医学における重要な概念であり、診断と治療において欠かせないものです。
「証」とは?
「証」は、病気の原因や症状、病気の進行具合や体質などの総合的な判断を指します。漢方医学では、病気の原因は体内のバランスの崩れにあると考えられており、そのバランスの崩れを診断することが大切とされています。病気によって現れる症状には、体の状態を表すものがあり、それをもとに漢方医師は証を判断します。
「方」とは?
「方」は、病気に対する治療法を指します。
漢方薬は、複数の漢方生薬を配合して処方されることが多く、その配合された漢方生薬のことを方剤と呼びます。漢方医学では、病気の原因や症状に応じて、適切な方剤を選択することが重要です。
方剤は、漢方薬の配合比率や使用量、用法などが決められた処方箋のようなものであり、漢方医師が処方します。 漢方医学では、病気の原因や症状によって異なる証を診断し、その証に基づいて適切な方剤を処方することで、病気を治療します。
証と方の判断には、経験や知識が必要とされます。そのため、正しく診断し、適切な方剤を処方するためには、漢方専門家の専門的な知識や技術が必要となります。

②方証相対と弁証論治
方証相対(ほうしょうそうたい)とは
方証相対(ほうしょうそうたい)とは、漢方医学において、患者の症状や病気の状態を診断し、それに合わせた漢方薬の処方を行う際に用いられる考え方です。
まず、患者の身体状態や症状を詳しく聞き取り、観察します。そして、患者の病気の特徴や症状、身体の機能や状態を、漢方医学における「病気のパターン(証)」として分類します。
この証は、一般的に、寒熱・陽虚・陰虚・瘀血などの分類に分けられます。 次に、処方の方向性を決めます。このとき、漢方薬の性味や効能を考慮し、患者の症状や病状に合わせた漢方薬を選びます。
選択の際に、漢方医学における「方剤(漢方薬の処方)」の中から、患者の病状に合った方剤を選択することになります。 漢方医学における独自の考え方であり、現代医学の診断や治療方法とは異なります。漢方医学では、身体の機能や状態を診ることが重要視されており、その状態に基づいて漢方薬を処方することが特徴です。
弁証論治(べんしょうろんち)とは
弁証論治(べんしょうろんち)とは、漢方医学において、患者の症状や病気の状態を診断し、それに合わせた漢方薬の処方を行う際に用いられる考え方です。弁証とは、矛盾することを指し、論治とは治療を行うことを指します。
まず、患者の症状や病気の状態を詳しく聞き取り、観察します。そして、患者の身体状態や病気の特徴を分析し、対照的な矛盾する要素を見つけ出します。
このとき、漢方医学における「八法」と呼ばれる、温・涼・補・瀉・通・散・攻・均という8つの手法を用いて、患者の状態に合わせた治療法を決定します。 漢方薬の性味や効能を考慮し、患者の症状や病状に合った漢方薬を選びます。
また、漢方薬の処方には、2つ以上の漢方薬を組み合わせることが一般的です。これにより、複数の漢方薬の効果を組み合わせ、患者の病状に対して最適な治療を行います。 漢方医学の中でも重要な考え方の1つであり、漢方医学における独自の治療法であると言えます。
終わりに
漢方薬の考え方は西洋医学と大きく異なり面白いですよね。ぜひ参考してお医者さんや薬剤師の指導に基づいて自分に合う療法で治療受けましょう。
薬剤師 小林俊介