桂枝湯(けいしとう)は、漢方の古典『傷寒論』に収載されている極めて重要な処方で、風邪の初期に用いられる代表的な漢方薬として知られています。
「葛根湯は知ってるけど、桂枝湯って何が違うの?」
そんな方にも分かりやすく、作用や特徴、向いている症状までまとめてご紹介します。
■ 桂枝湯の基本構成
桂枝湯は、次の5つの生薬から成り立っています。
- 桂皮(けいひ) … 血行を促し身体を温める
- 芍薬(しゃくやく) … 筋肉の緊張を和らげる、痛みを取る
- 生姜(しょうきょう) … 胃腸を温め、発汗を助ける
- 大棗(たいそう) … 体力を補い、脾胃(胃腸)を整える
- 甘草(かんぞう) … 体を調和させ、炎症を抑える
この5つの組み合わせにより、身体を温めつつ、無理のない発汗によって風邪を治していくという特徴があります。
■ 桂枝湯が向いている症状
桂枝湯が最も得意とするのは、以下のような “風邪のひき始め” です。
- 寒気がする
- 微熱がある
- 汗がにじむ、または少し汗をかいている
- 体がふわっとだるい
- 頭痛が軽くある
- くしゃみ
- 風邪で胃腸が弱りやすいタイプ
特にポイントなのが、すでに汗が少し出ている状態。
葛根湯が「汗が出ていない時」に使われるのに対し、桂枝湯は「弱い汗が出ている時」にピッタリなのです。
■ 葛根湯との違い
よく比較される人気処方「葛根湯」との違いを簡単にまとめると…
体力のない人・子どもや高齢者にも使いやすいのが桂枝湯。
やさしく身体を温めて治す「穏やかな風邪薬」と覚えると分かりやすいです。
■ 桂枝湯が向いている体質
桂枝湯は、こんな人に向いています。
- 冷えやすい
- 胃腸が弱い
- 汗をかきやすい
- 風邪をひくとすぐにだるくなる
- 虚弱体質ぎみ
逆に、がっちり体型・気力体力十分というタイプには合わないことがあります。
■ 桂枝湯を使う際の注意点
- 汗を大量にかいている時は向かない
- 体力が極端に低下している時は別処方を検討
- 妊娠中に使う場合は専門家に相談を
■ まとめ
桂枝湯は、
「軽い汗をかく風邪の初期」にやさしく効く、伝統的な漢方薬 です。
体力を補いながら、自然な発汗によって風邪を治すため、
子どもから高齢者まで幅広く使える処方として古くから親しまれてきました。
風邪の初期症状が出た時の選択肢として、ぜひ覚えておきたい漢方です。