冬になり寒さが深まると、胃が重い・お腹が冷える・食欲が出ない … そんな不調が増えてきます。
特に、冷えるとすぐお腹を壊したり、朝に食欲がない方は「胃腸の冷え」が原因かもしれません。
そんな時に頼りになるのが、昔から使われてきた漢方 「人参湯(にんじんとう)」。
体を温め、胃腸の働きを整える“あたための代表処方”です。
人参湯とは?
人参湯は、体が冷えて胃腸が弱っている「脾胃虚寒(ひいきょかん)」の状態を改善する漢方薬です。
特徴は、
- 胃腸をあたためる
- 消化機能を整える
-
体力の底上げを助ける
という働きがある点。
江戸時代から日本でも非常に愛用されてきた歴史ある処方で、
寒がり・胃腸虚弱タイプの方にぴったりです。
どんな症状に向いている?
人参湯は、次のような症状・体質に適しています。
✔ お腹が冷えて痛くなる
特に冬場、下腹部や胃がキューッとする痛みに。
✔ 食欲不振・胃もたれ
胃が弱く、食べてもすぐに疲れるタイプに。
✔ 下痢しやすい・軟便が続く
冷たいものを飲んだり、冷えた環境にいるとすぐお腹を壊す場合。
✔ 朝に胃が重い
“胃の動きが弱い”ことで起こる典型的なサイン。
✔ 虚弱体質・風邪をひきやすい
気力・体力が不足している場合にも◎。
人参湯の構成生薬
人参湯は、「四君子湯」の構成をベースに、体を温める成分を強化した処方です。
● 主な生薬
- 人参(にんじん):元気を補い、胃腸機能を強化
- 白朮(びゃくじゅつ):消化吸収を助け、胃腸を守る
- 甘草(かんぞう):炎症を鎮め、諸薬を調和
- 乾姜(かんきょう):生姜を乾燥させた生薬。強力に体を温める
特に、乾姜が入っていることが人参湯の特徴で、「冷えによる胃腸不調」への効果が高まっています。
どう働くの?(漢方的な解説)
漢方では、胃腸(脾胃)は“気血水を生む工場”とされます。
冷えて工場が止まると、
- 食べ物をうまく消化できない
- エネルギーが作れない
-
体がさらに冷える
という悪循環に。
人参湯は、
「工場を温めて動かし直す」
そんな役割を果たします。
そのため、体の芯からポカポカし、食欲が戻り、元気が出てくるのが特徴です。
現代でも愛される理由
● 即効性が期待できる場面が多い
冷えからくる胃痛・下痢・食欲不振にすぐ効果を感じる人も。
● 子どもから高齢者まで使いやすい
刺激が強すぎないため、幅広い年齢で使われてきた安心の処方。
● 冬場の「冷えによる不調」にぴったり
特に“胃腸が弱い寒がりさん”には、冬の定番処方です。
注意点
- 暑がり・のぼせやすいタイプには向きません
- 胃が炎症を起こしている場合は悪化することも
- 体力があり、熱っぽさがある時は別の処方が適切なことが多いです
漢方は体質に合うかどうかが何より大切。
まとめ ― 冷えた胃腸をやさしくあたためる
人参湯は、
「冷え」+「胃腸虚弱」
が重なって体調を崩しやすい人にとって、とても心強い漢方です。
冬の寒さで調子を崩しやすい方、冷えるとすぐお腹が痛くなる方は、
人参湯のやさしい温め力で、毎日をより快適に過ごすことができるはず。
胃腸が整うと、生活全体の調子も自然と良くなります。
ぜひ冬の養生に、人参湯を取り入れてみてください。
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